理由は様々で、単に仕事に嫌気がさした人もいれば、再就職の為の人もいた。
愛美が辞めることが不自然だとか信じられないだとか思うわけじゃない。
なのに、この虚無感は何だろう。
それがもうずっと、抜けない。
愛美を前みたいに直視できない。


「それだけ傷だらけなんだもん、痛かったでしょー？…っていうか、見ているこっちが痛そう」


すぽん、と勢いよくＴシャツに首を通しながら、主任が言う。
もう聞き慣れた台詞でしかない。


「はは。それはよく言われます」


渇いた笑いを残して、白々しくそう答えた。















匠は今朝から長野に行っている。
いつもベッドの中でぐだぐだしている匠が7時には起きてしゃきしゃきと身支度をしている様子に、若干の違和感を抱く。