安物の味が、口いっぱいに広がる。
『…強いんですね、あやめさんは』
『それは自覚してる。私はそう在りたいからね』
ナオは“好きなんですね”という言葉を使わず、“強い”という表現を用いた。
そう、ナオは賢い。
匠だって頭はいいけど、ここまで鋭くはないし、ナオと違って計算しながら顧客を作らないタイプだから。
『俺の彼女、キャバ嬢で。ベタですけど、超病んでる子なんです。だから俺の仕事は反対してて、いつも泣くんですよね』
『ま、そりゃそうだ』
『自分で言うのもアレですけど、こんな仕事してる以上そんな女を好き好んで捕まえる程馬鹿じゃないんですけどねぇ。つーか、向こうだってこんな男が嫌ならさっさと棄てればいいのに』
ナオは頬杖をついて、俯き気味に言った。
本当に綺麗な子。それでいて頭だっていい。
『…強いんですね、あやめさんは』
『それは自覚してる。私はそう在りたいからね』
ナオは“好きなんですね”という言葉を使わず、“強い”という表現を用いた。
そう、ナオは賢い。
匠だって頭はいいけど、ここまで鋭くはないし、ナオと違って計算しながら顧客を作らないタイプだから。
『俺の彼女、キャバ嬢で。ベタですけど、超病んでる子なんです。だから俺の仕事は反対してて、いつも泣くんですよね』
『ま、そりゃそうだ』
『自分で言うのもアレですけど、こんな仕事してる以上そんな女を好き好んで捕まえる程馬鹿じゃないんですけどねぇ。つーか、向こうだってこんな男が嫌ならさっさと棄てればいいのに』
ナオは頬杖をついて、俯き気味に言った。
本当に綺麗な子。それでいて頭だっていい。



