蝶が見る夢

そもそも、私が何故そんなものを使おうと思ったかと言えば。
社会人になって半年が経過し、なかなか思うように仕事ができず、苛立ちばかりの日々に刺激が欲しかったから。
誰にも負けないポジティブさが売りの私だけれど、それでもプラスの感情しか持ち合わせていないわけじゃない。
そう、ただの憂さ晴らしと興味のみだった。
それ以上の理由も、それ以下の理由もない。
もしも私に彼氏が居たなら、そんなくだらないお遊びなど思いつきもしなかったと思う。
世の中には知らないことが沢山ある。
きれいなことも、汚いことも。
それを、できる限り知りたかった。












それから2週間が経つか経たないか、事は起きた。


『それじゃ、お疲れ様です』


早番の私は、遅番の先輩や愛美に一礼をして売り場を後にする。