蝶が見る夢

所詮それまでの想いだったのだと否定する人間も、少なからずいるかもしれない。
しかし、だ。
地元の仙台ならいざ知らず、現に、この東京という大都会で先輩を見つけてしまった。
大好きだった。
大好きで、私の生きる支えとなった人だった。
今の今まで忘れていたけれど、そんなにも私は先輩に焦がれていた。
そう思うと、なんだか可笑しくなってくる。
可笑しくて可笑しくて、だけど、心臓の鼓動は暴走したまま止まりそうにない。
再会が嬉しいのか、はたまた、こんな形で出会ってしまったことに後悔しているのか。
昔好きだった人との再会はあまりに唐突すぎて、普段滅多なことでは動揺しない自信がある私が、混沌とした訳のわからない感情に流されつつある。
私はこの場をどうしようかと、すっかり困り果てていた。