俺も美古の前に座って、朝食を食べる。



「…美古お前…俺に…」


「んっ?」


「いや…何もない」


美古は俺に何か隠しゴトをしていた。

問い詰めてやりたいけど、そんな悠長な時間はなかった。


俺も美古も仕事。


俺はスクラブルエッグの横に添えられたにんじんのグラッセをフォークで遠ざける。


昔から、人参だけは大嫌い。


今でもそれは変わらない。


「また、人参残してる…」


「嫌いなんだ…仕方ないだろ?」
俺は開き直って、美古のパン皿に人参を乗せた。