諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



他人の勝手な妄想に過ぎずとも、その妄想を作る要素(きっかけ)は渉にある。


あまり学園に来ないのも、時代遅れな格好をしているのも、機械的な性格なのも渉のステータス。


しかして案外、少し奥に目をやれば渉にも人間らしさはあった。


「うわあ……」


ドン引きを声に出すほど破顔し、廊下で鉢合わせたモノに後退りをする渉。


それでも日本人らしくあまり引いては相手を傷つけてしまうと取り繕う渉だが。


「……、酷いですね」


口端のひきつりが自覚なしに出てしまうほど、ひどく悲惨な相手に同情すらもした。


「……、ああ、わたるんか」


渉の前にいる相手は意識が水底にでもあるのか反応が遅い。


いわゆる放心状態なのだろう。