諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



騙されてるよ、溝出……。それを素直に信じるあたり溝出にもピュアさがあるのかもしれない。


「証拠だせ、証拠をよぉ。あまおういっぱい献上しろや。慰謝料ついでに受け取ってやっから」


「骨が折れたのは確かに同情しますが、これはあなたが望んだことかと」


「どこの誰が自分の背骨真っ二つにしてえと思うんだよっ、薬でもやってんのか、わたるん」


「それは過程に起こったことです。五日間、あなたは阿行さんをおんぶするために努力をした。――そうして今、それが報われたんですよ」


ハッ、と雷が落ちた。衝撃の比喩にしても、溝出の空いた口が五秒間塞がらないまでに至る。


思い出したのはこの五日間の苦痛。

頭を叩きつけて土下座をし、防弾ガラスに特攻し、お星さまにされ、焼却炉で燃やされ、そうして寿命半分をなくした恐怖を体感した今までを。