諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



「ま、まっ……!」

ヒビが広がっていく。時限爆弾にでもなった気分だ。じわじわと広がっていく死への予兆が溝出の精神を蝕む。


助かるには考えるしかない。ない頭でも答えようとするが、口元にまで到達した亀裂で思考を放棄してしまう。


――恐らくは。



「あぎょうさん、さぎょうご、いかに」



これが最後の問いかけだと思った。


スロー再生した時に出る人間とは思えない声色で、阿行は白いお面にもう片方の手をかけた。


決して外さなかったお面を取る行為。それをするからには何か重大な意味があるに決まっている。


死期を見た溝出にはこんな想像が働く。

面の下、唇がない剥き出しの歯茎に生えた鋭利な歯でがじがじと骨を貪り喰う少女。