諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



その怯えようが阿行には見えているのかは知り得ない。


のっぺらぼうだなんて妖怪がいたが、無地のお面でここまで気味悪さを放てるものなのか。


合わせ鏡みたいだった。見続けてはならないと、感情が警鐘を鳴らす。



「あぎょうさん、さぎょうご、いかに」


尚も呟く同じこと。機械調で淡々と、生きている色を感じさせない無機質さ。


感情なんかない、万力らしく挟まった自身を容赦なくコレは破滅させるモノだ。


確信した死期。
彼岸の先が手招く。


「はっ、はっ、はっ……」


恐怖に緊張が混じり過呼吸気味になった。


ここまで追い詰められたことはあったか。あの冬月でさえここまでの恐怖を携えない。


あからさまな暴力ならばまだ耐えられた、なのにこれは霞に覆われた死。


白い闇に放り込まれたようで不安が怯えに――