「ヒヒ……」
薄気味悪い声、鍋をかき回す魔女さながらに笑う溝出は、空き教室でこそこそをする。
空き教室の扉を僅かにあけて、溝出が手に持っていたのは。
「これであいつらはちょーくの粉まみれだぜえっ」
チョークの粉をたっぷり含んだ黒板消しを扉に挟んでいた。
ただの幼稚なトラップと思うなかれ、自称天才溝出は更なる悪質さを加えていた。
黒板消しに塗りたくったチョークの粉、実は。
「青色だかんなぁっ」
まさか、なんということだ。
白い粉でさえ頭に被れば嫌なのに、それが青色とあってはその日一日被害者はブルーな気持ちになるに違いない。
なんたる悪質、なんたる悪魔、なんたる小癪さ。ずる賢い溝出だからこそ産み出されたトラップである。


