諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



歩く渉の背中には小さな付属物があった。


紛れもない生き物でもついうっかり付属物と言ってしまうのは、それが小柄で何の不自然もなしに渉の背におぶさっているからだった。


はしゃぐように喋り、渉の首に腕を回して、子コアラらしく離れない。


通常、おんぶというのは乗る方が腕を回し、背負う方に至っても乗る人が落ちないようにと手を後ろに回し支えるが、渉の手は前にある。


更に言えば、手にはペンと黒い手帳。かきかきとしながら、渉は背中の付属物をないかのように歩いていた。


重力はどこ行ったっ、となる形なのに、渉の背中に乗る少女のスタンスに違和感はないほど自然だった。


「かんかんちゃんにね、おぶさろうとしたんだけどね、ちっちゃいから、隣のわんわおをもふもふしてきたの」