諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



「たろたろのお姉ちゃんがべろちゅーしてたぁ」


「それは、とても凄い春ですね」


大人の春であった。

たろたろとはイケメン度が上がってきた丹下龍太郎のことで、その姉となればスペシャルハレンチこと雛菊である。


「ひなりんにおぶさっていたんだけど、途中で本の人が来てね、べろちゅーしてたんだぁ、きゃわぁ」


人目を憚らずべろちゅーとはけしからん、と言う渉ではなかった。


その行為を、あとはよしなに、と退室せずに見ていた阿行もまた恥じらいが抜けているようなものだが。


「べろちゅーは気持ちいいのー?」


「話によればそうですね」


何の話だ、渉君。と届かない声をあげておこう。


「私もべろちゅーしたいなぁ」


「だったら否応なしにお面を外すことになりますね」