諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



「わたるん、これなにぃ?理科室から逃げてきたの」


「天神学園の七不思議にありそうですが、残念ながらこれは妖怪溝出(みぞいだし)ですよ」


手帳を捲る。
溝出が都市伝説というわけではないが、妖怪というジャンルから書いていてもいいかと溝出に関して渉は知っていた。


「葛籠(つづら)、もしくは駕籠(かご)に好んで入る妖怪です」


「おう、がきゃあ、われえ。そこに大妖怪とつけとけや。泣く子がもっと泣く最強妖怪だってなぁ!」


「源冬月君の腰掛け妖怪です」


「ちげえぇぇっ!」


とは言っても、体育祭で冬月(ふゆつき)と参加した時に溝出は腰掛け妖怪と認めていたりする。


その事実があるからこそ書いたが、違うのかと渉は腰掛け部分に二重線を引いた。