諦めないで、幸せを求めて噛ませ犬になろうとも



そうして――弁当箱の中に墨汁をかける。


おかずからご飯まで、均等にまんべんなく、ただの一滴も残さずに、弁当を地獄の産物に変えてしまった。


黒々しい弁当。
それを冬月は無造作に落とした。


カタンっと、弁当箱はひっくり返らず真っ直ぐ下に落ちたために中身の溢れはほとんどないが、黒い弁当は溝出の真ん前にある。


何をと、冬月の行動を理解できない溝出だったが。





「食えや」





骨なのに鳥肌がたった気がした。


端的な命令。主語がなくとも察せた、冬月の真・サド性格。


「い、いや……、お、俺、骨、だし……」


「それがなにぃ?美味い美味い言うて、さっさと食えや。箸も手も使わず、口で貪りやぁ、噛ませ犬。

犬食いして、骨から溢れたもんをまた美味い美味い言うて食えや。百回やるまで帰さへんからなぁ、この駄犬以下のクズゴミが」