「ビックリした。スーツで来るのかと思った。」

「今日は俺でいたいから…。」
胸がドキンとした。

髪の毛はサラサラと額にかかっていて
別人のようだった。

「髪伸びたんだね。」

「うん 人生初の ロン毛だよ。
普段は固めてるからさ。」

「違う人みたい。」

「今日は違う人になりたかった・・・・。」

体に心臓がたくさんあるみたいに脈打った。

「キレイだな。この間の白衣もめっちゃよかったけど
今日の姫もすごくいい。」


「やだ・・・。恥ずかしいから。」

「会いたかった。」

「私も…会いたかったよ 龍・・・・。」


龍が私の手をつかんだ。


「行こう。」


高校生の頃を思い出した。
背の高い龍の後を 小走りついて行く私

あの頃は幸せだった。
さえぎるものは 何もない・・・・。


二人が目指す先は お互いのぬくもりだけだった。


今日は俺でいたい


その言葉に全部の龍があるそんな気がした。