靴箱からは砂の匂いがした。 赤いパーカーを抱きしめたまま、私はただ首を縦に振った。 『ずっと、気になってたんだ。カレンのこと…』 『嘘… 私、ずっと先輩のこと好きでした。毎日見てました。信じられない…』 頭に乗せられた手が背中に回された。 ほんの一瞬の出来事。 短いけれど、抱きしめてくれた。