「奏…ちゃん」

何か、ちょっと必死な感じ。

こういう表情はめずらしい。

多分、こんなカオをするのは、タクトの無茶を止めるときくらい。

「長年一緒にいて、タクトの無茶が移ったか?」

荒めの口調で言って、

奏ちゃんは、あたしを、雨ごと抱きしめた。

う…わ。