「なんか三年になったって実感わかんよなぁ。」

「ほんま。もう受験生やで。」



ようやくホームルームが終わり、

千夏と朋子は

既に満開を過ぎてしまった桜の木が両脇に並ぶ

校門をくぐった。


「うんうん。千夏もええ加減勉強せぇよ。」

「…………辰雄!?」

急に隣に並んだ人物を驚いて見ると、

まるで始めから三人で帰っていたかのように

辰雄が立っていた。