『…マンションに、2階ってあるの?』

そう。このリビングには階段があって、2階に行けるようになっている。

「今時の高級マンションはあるな」

『あなたってお金持ちのお嬢様?』

「…意味は違うが、金はあるな」

と、険しい顔で呟いた。

『ちょっと聞きたかったんだけど…』

 ピンポーン

「ん? 来客か?」

女の子はインターホンに向かった。

スイッチを押すと、来客の顔が画面に映った。

「ヤッホー、マカ。家事の手伝いに来たよ~」

長い茶髪に、耳にいくつものピアスを付けた青年が明るい笑顔と声を向けてきた。

「…ハズミ。お前だけか?」

「マミヤもいるよ~」

「なら良し。上がってこい」

「はーい。…って、オレだけじゃダメなのかよっ!」