マカはわざわざ、帰り道を用意してくれていたのか。

ずっとノートパソコンの前にいたのも、そのせいかな?

わたしは泣きそうなのをグッとこらえ、マカに満面の笑みを浮かべて見せた。

「それじゃあ…帰るね。マカ、これからも元気で」

「ああ」

マカは最後まで、無表情だった。

わたしはスっと手を伸ばし、画面に触れた。

するといつものように、闇に吸い込まれていく。

ああ…本当に、戻ってしまうんだな。

自分で決めたことなのに、残念に思う気持ちがある。

けれどやっぱり、戻らなくてはいけない。

わたしの体はやがて輪郭がぼやけていき、画面の中に全て吸収されていった。

「―さよなら、ナナオ」

そして画面は普通の待ち受けに戻った。

マカは眼を閉じて、パソコンのフタを締めた。