「よし!」 俺はやっと発信ボタンを押した。 RRR… ガチャ え…出るの早くない!? 俺はまだ準備ができていなかった。 「はい、もしもし?」 聞こえてきたのは桜の声じゃない。 「宮田さんのお宅でしょうか…」 桜は“村田”だけど、桜のばあちゃんは“宮田”。 俺は言い慣れない苗字に少し緊張した。 「はい、そうですが?」 「あの…村上翔太といいます。桜さんは…」 「ちょっと待ってね」 言い終わらない内に遮られた。