桜Side
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「さあ…また1時間経ったねえ、葉山ちゃん」




目の前の赤銅色の男は、実に愉快そうな笑みを作り、




「また1本――

いただきま~す!!!」



「――ッ!!!」


私の左手の人差し指を、ありえない方向に容赦なくねじ曲げて、更にぐりと回し、



ボキッ。


――折った。


単純に逝った音ではない。


筋肉から神経から、最大限周辺器官を巻き込んだ…拷問の折り方だ。


折れて、破損した骨の欠片が…内部を突き破る凶器となるだろう。



「ははははは、偉い、偉いね~。また我慢したんだね~。糸使いなのに指が使えなくなっても声を上げないんだね~。周涅ちゃん…感激。握手してよ」


両手で…腫上がった私の左手をぎゅっと握りしめた。


その激痛に…私は唇を噛む。


脂汗が…出てくるのを感じた。



「感無量って感じ? ははははは~」



男の笑い声は、長く長く続く。