煌Side
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『あたしが…うまくやって…やる。

お前…達は、戻れ…』


苦しげな七瀬の声が突如聞こえた時、正直俺はビビった。


何で七瀬の声が聞こえるよ?

神か!!?


「紫茉ちゃん!!!? 紫茉ちゃんなの!!?」


『ああ、芹霞。心配かけたな』


紛れもなく、七瀬らしい。


まあ…心の中だというくらいだから、どんな不可解なことがあってもいいんだろうけどよ、七瀬の声がした途端…景色が、微妙にぼやけてないか?

…膜がかっているような。

だけどすっと元に戻ったり、また膜がかったり。


何だ、これ?


玲が叫ぶ。


「紫茉ちゃん…また潜ってきたの!!? というか、君は…力の大部分を消耗しているね? 潜っている君を…僕達を保護する内膜が不安定だ。そんな状態であれば、肉体のダメージは更に酷くなるじゃないか!!!」


この膜、七瀬の力なのか。


結界…みたいなものだろうか?


『玲…よかった…。世界に、同化していなくて…。それに肉体、ああ、本当によかった…。すまなかった…本当に…置き去りにして…』


泣いているような七瀬の声。


きっと、まだ熱もあり体力も消耗しきっているのに、それでも玲を助けようと…また無理をしたのだろう。


皆で無理をさせないように周涅に頼ったのに…本当に、笑ってしまうくらい、真っ直ぐで責任感が強い奴だ。


「周涅は、そこにいるのかよ?」


俺の問いに、七瀬の声が響く。


「…いいや、朱貴だけだ。朱貴から概略しか聞いていないが…周涅が、迷惑かけた。あいつ…何を考えているのか…。すまない…本当にもう何と謝っていいのか…」


きっと朱貴から概要を聞いて、病み上がりの癖に慌ててすっ飛んできたんだろう。


周涅の力を知らなかった七瀬が、謝罪することはねえのに。