桜Side
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『黄色い外套男が渋谷に現れた。早く来い!!!』


間違いなく――

煌からの私へのSOSだ。


何故櫂様の言い付けを守らず芹霞さんを渋谷へ連れた…と怒りたい気分は山々だけれど、あの煌が1人で切り抜けられないと判断したということは、それだけ事態は深刻だということは間違いない。


『突然女がばたばたと倒れてる非常事態』


その意味が判らないから。


少なくとも煌の戦闘能力があれば、仮に信じ難い事態に陥っていたとしても、最小限の被害で食い止めることが出来ると思う。


それが、被害が尚も続いているというのなら、煌の力をも凌駕する異常事態が起こっているということ。


そして。


櫂様でも玲様でもなく、私を呼んだということに意味を持たせるとすれば、大至急渋谷に来いということだけではなく、私が煌より勝るもの…例えば"素早さ"や"器用さ"が求められていると言うことで。


だとすれば。


想定出来る事態としては、渋谷という土地そのものが、煌の戦闘に向いていないと言うこと。


それは人通りの激しさ故か。


それとも別の理由か。


櫂様は落ち着かない顔をされている。


本来ならば、櫂様の身柄は万が一に備えて、玲様に預けたい処。


しかし本人が事態を知ってしまったのならば、櫂様は何があっても渋谷に駆け付けようとするだろう。


私の制止などは役に立たない。


過去、玲様の力を持ってしても収まらず、玲様は麻酔を何本か注射してその力を奪ったことがあるくらいだ。


そして尚、玲様も嫌な予感を感じている。


一刻も早く渋谷へ――。