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「な、ななな何で僕の身体が!!?」


玲くんは、当惑を超え混乱しているような顔つきをして、微かに仰け反る。


そりゃあそうだろう。


自分の目の前に、別の自分が居る。


しかも元々は1つなら、玲くんは生き霊のような存在。


だけど玲くんは、あたしのよく知る玲くんで。


だから戻って貰わないといけない。


あの頑固なコゲのような、玲くんの肉体に。


「ちょ…ちょっと待って。本当の僕だの…殴っただのって、あの"僕"が君達に襲いかかったの?」


玲くんが慌てたような声を出した。


「そういうことになるだろうね。だけどまあ…元はといえば、玲くんの深層部分にあたし達が勝手に乗り込んだのだから、ある意味…当然の仕打ちって言えばそうなのかもしれないけれど」


更に玲くんは仰け反った。


「し、深層部分って…僕の!!? 何だよ、それ!!! 僕の心の中に入ったの!!?」


更には声までひっくり返っている。


「らしいね、煌が言うには。あたし達、抜け殻の玲くんと共に…紫茉ちゃんのお兄さんの周涅の術に嵌ったらしく、それで玲くんの心の中に勝手に連結されて、彷徨っていたみたい」


玲くんは…引き攣った顔で、だらだらと汗を流していた。


凄い。


初めて見るかもしれない、玲くんの過剰反応。


「ねえねえ、玲くん宙に浮いたんだよ、宙に!!!」


笑いながら言ったのに、玲くんの顔は青ざめていて。


「そ、それだけじゃない…よね? 僕…君や櫂に…何かしなかった?」


「え? ああ…まあ、イロイロと」


言葉を濁して苦笑した。