「芹霞ッッ、玲の名を呼べ!!!」


俺は叫んだ。


「お前の慕う玲の名前を、力一杯叫べ!!!」


後ろで、芹霞が頷いたような気がした。


「玲くん、帰って来てぇっ!!!」


芹霞が思い切り叫んだ。


「あたしは、玲くんが大好きだからッッ!!!」


光が…大きく揺れた。

動揺…しているのか!!?


だけど――


「煩い、煩い、煩いッッッ!!!

"僕"は此処にいるんだッッ!!!

他の…奴の名前を呼ぶな、芹霞ッッ!!!」


芹霞が口にした、同じ名前を持つ玲は…あくまでそれは他人のモノだと突っぱねた。


それでいて――


どうでもいいといいながら…やはり芹霞は諦められない。

そこまで深く根付いた芹霞への想い。



「"僕"を拒むなッッッ!!!!」


どこまでも芹霞の愛を求め続ける。


それは最早…愛憎と化して。



「"僕"を愛せよ、芹霞ッッッ!!!」



鳶色の瞳は…黒い狂気に染まりつつある。


玲の力が荒れ狂う。

青い光が、一際大きくなる。



「――くっ!!! このままだと…玲が暴走するッッ!!!」


煌が一歩退く。


電気の力だけではない。


玲を補填するような黒い闇も…大きくざわめき立っている。

まるで玲を煽り立てるように。