――ずっとずっと…心から、君を愛してる。


判っている。


玲の…芹霞への想いは、十分過ぎる程判っている。


気づくことは遅かったけれど、気づいてからは…そして玲が想いを隠すことがなくなってからは、どれだけ強く深く芹霞を愛しているのか、俺は傍で見続けてきたんだ。


喜悦と切なさと。


熱の籠もった眼差しで、芹霞を眩しそうに見つめるその表情。

触れたくて触れたくて溜まらないその衝動。


判っている。

俺だって芹霞が好きだから。


俺の為に全てを諦めた玲が、諦めきれないのは芹霞の存在。

そしてそれを許したのは、紛れもなく俺。


だけど、"許した"俺は――

一体何様だったんだろう。


傲慢過ぎた。

玲を蔑ろに扱いすぎた。


だからきっと玲は――


「――道具…?

お前、都合悪いことはすぐ切り捨てるんだね。

何処までも何処までも、"僕"を軽く扱うんだね」


きっと、怒る。


全ての怨恨を俺に向ける。


それでいいと思った。


それだけのことを俺はしてきた。

玲の優しさに甘んじて、俺は本当の玲を抑え続けてきたのだから。


玲を解放してやりたいと切に願いながら、

俺自身が玲を閉じ込めてきたんだ。


玲が望むものはやりたい。


だけど、芹霞に関係するものは嫌だ。


それだけは譲れない。


芹霞だけは…目の前で奪われたくないんだ。


俺の目の前で、芹霞が盗られるのだけはどうしても!!!