「大した自信だね、櫂。今までお前の目に映っていた僕が、本当に"僕"だと思っていたのか? 本当の僕の"心"だと? お前が何をしても従順に動き続ける傀儡とでも?」
何を…言っているの、玲くん!!?
頭を捩って玲くんの顔を見れば、そこには冷たく光る鳶色の双眸があった。
それは――憎悪。
そして、殺気。
あたしの驚愕した気配に気づいた玲くんは、
「ふふふ、大丈夫だよ、芹霞。君を惑わすものは皆排除してあげるから。"僕"と一緒に…永遠に過ごそう? 僕の…シンデレラ」
可愛らしく首を傾げる玲くんは。
あたしに対してはいつもの優しい玲くんで。
だけど――
見えてしまう。
鳶色の瞳の中にある、揺らめく青白い炎。
それは…確かに、優しい玲くんの瞳の中に、見え隠れしていたものだ。
そしてあたしは――混乱する。
目の前の彼は、本当の"玲くん"なんじゃないかと。
じゃあ、玲くんは…櫂を恨んでいたの、いつも!!?
「芹霞。君はあんな男に惑っちゃいけない。ずっとずっと…"僕"のものなんだからね…?」
"あんな男"
それは紛れもなく櫂のことで。
あたしは…殺気にも似た、玲くんが櫂に向けている冷たく鋭い…鋭利な刃物のような感情に震え上がった。
「何…言ってるの!!? やっぱり貴方は、玲くんじゃない。優しい玲くんは絶対そんなことを言わない!!!」
あたしは、そう叫んだ。
すると、苛立ったように…静かに鳶色の瞳が細められて。
「君まで"僕"を…偽りだと言うの?」
静かに静かに、揺らめき立った。
青い――狂気が。

