「そんな…そんな!!!確かに此処にあって、その中に櫂様達は…!!!」
私の頭は混乱した。
「なあ…桜。俺達が理事長室に来た時、ロッカーなんて、場にそぐわないもん…なかったぞ?」
「俺も見た記憶がないかも……」
煌と翠が言った。
思い返せば――
私だって、ロッカーというものを当初より記憶していたわけではなくて。
あの時。
計都が"ロッカー"という単語で氷皇の言葉を伝えた時。
部屋が破壊されて焦ったあの時。
初めてロッカーというものの姿を見た気がする。
「どういう…ことだ。櫂様は玲様は…芹霞さんは…由香さんは!!?」
私の声は、動揺に掠れきっていて。
「お前…今、"計都"と言ったな」
腕組みをした朱貴が不意に尋ねてきた。
「それは…"黄幡計都"のことか?」
その顔は、不安を煽るような非常に険阻なもので。
「ああ。何でも一縷の義理の兄貴だとかいう…」
代わって答えた煌に、朱貴は激しく舌打ちをした。
「何で…入れた、あの男を!!!」
忌々しい、そんな怒気に満ちた声音で。
「入れたって言うか…氷皇が招いたって…」
びくつきながら煌が言った。
「何で氷皇があの男を此処に招くんだ!!!!
第一氷皇の名前が、信用に値するわけがないだろうが!!!
ああ――…
俺が傍から離れたのを見越したのか!!!」
「な、何だよ、計都が何なんだ?」
騒ぐ煌に、朱貴は睨みつけるようにして怒鳴った。
「あの男の仕業だ、この幻覚は!!!」
私には、その意味が理解できなくて。
「……は? 計都って…あれだぞ? 長い前髪顔に垂らして、のそっとしてもそっとしたどう見てもオタク…」
「外貌だけだろう!!! 顔を見たのか、お前達は!!!」
「いや、だから前髪を……」
「あの男は!!!
"ディレクター"だ!!!」
朱貴が叫んだ。

