「ひいい!? 蝶々が…また違う人に…」


悲鳴。


絶叫。


渋谷は突如血に塗れた。


犯人が見えないとなれば、偃月刀を闇雲に振り回しても無駄だ。


俺は建物の屋上にいる、黄色い男を睨み付けた。


あいつを…何とかすればいいのか!!?


だけど今ここを離れたら、芹霞はどうなる!!?


凄く…嫌な予感がするんだ。



「紫茉、大丈夫か!!?」


小猿が舞い戻り、七瀬に声をかけている。


「あたしは大丈夫、それより芹霞が…」


まずいな、芹霞の昨夜のショックが蘇生して…腰抜かして動けなくなっちまったらしい。


目の前では、

1人、また1人と。


両方の眼球を、突如無くした女達が倒れていく。


「小猿!!! 今から言う電話番号に携帯かけろ!!!」


「はあ!?」


「080-1146-****!!! 『黄色い外套男が渋谷に現れた。早く来い!!!』、それだけ言ってくれ!!!」


こうした雑踏の中では、素早さと器用さがものを言う。


新宿から呼び寄せるより、赤坂からの方が僅かに早い。



早く――

来い、桜!!!