「久涅の力は未知数ということですね、櫂様。だとしたら、やはり…皇城翠の存在は…不安定ながらも、希望になりますね」


桜が言った。


未知数には未知数を。


だが…彼は協力してくれるだろうか。


危険に巻き込むことになるのは、正直心苦しい。


彼らの善意を、利用したくない。


だが…どう考えても、俺達が持ち得る手札は、切り抜ける為には弱い。


戦力が次々に削がれているんだ。


狙ったように――。



――約束、して欲しいんだ。


俺だって…出来るなら、それは最後の切り札にしたい。


もがいてもがいてもがき抜いて。


それでも駄目な時の為のものにしたいんだ。


なあ、玲。


ちらりと横目で見る玲の顔は、少し苦しげで。


芹霞が手を握ってずっと見ている。


――約束、して欲しいんだ。


それが…現実となったら。


きっと芹霞は――。



俺はそれを消すように頭を振り、考えねばならぬことを考える。


揺れるな。


不安になれば利用される。