「瘴気が…揺らめいている…」


桜ちゃんから、感嘆じみた声が漏れた。



『四海の大神、百鬼を退け、凶災を祓う。


――急急如律令!!!』



途端。


眩しい光が、怒濤のような勢いで…黒い闇を押し潰した。


一気に塗り替えられていく。


漆黒から…色の付いた日常のものへと。



「皇城翠の…力、か。


まるで煌の様に…多大な潜在能力を秘めている。


――勿体ない。


何で馬鹿なんだろう」



褒めているのか貶(けな)しているのか。


何とも微妙な桜ちゃんの感想で。



『はぁはぁ…ぜぇぜぇ…』


『よし、出るぞ!!!』


そんな声が聞こえると同時、前方の扉が開いて。



「芹霞!!!? 桜!!!?」


驚く煌と。


「葉山!!!?」


その煌の肩に担ぎ上げられている、桜ちゃんしか見えていない小猿くんが出てきた。



「どうだ桜。ナイスなアイデアだろう? 瘴気が一気に…」


意気揚々と得意げに自慢する煌の前で、途端に桜ちゃんは身を翻し…


「櫂様の力となる瘴気がなくなったら、櫂様にとってはマイナスだ!!!!」


「あ?」


「櫂様は、闘っているんだ。BR001、銀色の氷皇と」


「BR…は!? 銀色…あああ!!?」



あたし達は…桜ちゃんを追いかけた。