「どうしますか、櫂様」
いつも無表情の桜ちゃんであるけれど、今回は更に淡々としていて…怖いくらいの冷たさがある。
櫂同様、桜ちゃんも…憤る心情が大きかったのだろう。
彼らは…やはり怒らすと怖い。
絶対怒らせたくない。
あたしは胸に誓った。
そんな時、櫂があたしを片手で引き寄せて。
「――あいつの様子がおかしい。
気が…大きくなっている」
警戒に満ちた声を出した。
桜ちゃんも強張った顔をして、櫂の前に立つ。
目の前の男は――
未だ声を上げない。
だけどあたしでも判る。
血が…引いていくんだ。
ありえない。
あんな怪我…数分で回復出来るなど。
そして…
「!!!!!」
男は床に落ちている眼球を手で拾い…
今まで手で抑えていた部分に、ねじ込んだんだ。
「そんな!!!」
身体にびりびりと走る緊張感。
絶対あり得ない事態が、目の前に起こっていて。
「中々…洒落た真似をする」
笑った口調の櫂の声も…強張っていた。
そう。
目の前の男は…
2つの銀の双眸を…再生させたのだ。
何事もなかったかのように。

