ぱあっと顔を輝かせた小猿は、俺からそれを引ったくるようにして奪い取り、むしゃむしゃと喰っている。


俺が貰ったモノなのに、1口どうぞの思いやりの心もねえ。


そんな奴を守るように、偃月刀を振り回し続ける俺って、どれだけ健気よ?


「どうだ? 元気になったか?」


すると小猿は、満面の笑みでピースサインを出した。


「お~し、皇城翠復活!!!

俺の多大な力を見せてやろうじゃないか!!!」


…本当に完全復活しやがった。


何だよ、この充実した小猿の気。



"きびだんご"



凄ぇ……。


パワーアップアイテムだったんだ。


俺も食えばよかった。


羨望の眼差しで見るも、一抹の不安が過(よ)ぎる。


小猿の力と食欲が比例するものなら。


これだけの瘴気相手に、また小猿がへばったら…回復アイテムはもうねえ。


考えろ。


効率的で効果的な方法を考えろ。



「東海の神…「ストップ!!!!」


俺は小猿の口を押さえた。


「要は校舎中に響けばいいんだろ、その呪文!!!」


「まあ…」


「じゃあ全校舎に目一杯響かせて、一網打尽でいこうぜ?」


「俺の声、全校舎になんて届くはずないだろ!!? 血を吐いて叫んでも、絶対!!! 物理的に無理!!!」



悲痛な声を出してきた小猿。



「んな無謀なことさせねえよ!!!

ただついてくればいい!!!」



「何処へさ!!?」




「――放送室!!!!」



俺は小猿の腕を掴んで走った。