「おし、小猿!!!
大成功だ!!!
この調子で、あっちもこっちもいくぞ!!!」
しかし小猿は前方に撓垂れるようにして、肩ではあはあと息をついていた。
「これ…凄く精神力…消耗して…
――もう…無理…」
「……。……。……はあ!!?
たった1回じゃねえかよ!!?
瘴気はまだ向こう側からも感じるぞ!!?」
「!!! そんな簡単に言うなよ!!! 何だよ、その盛大な溜息は!!! じゃあワンコやって見ろよ!!!」
上目遣いで睨まれた。
ああ、こいつ…
やっぱり落ちこぼれなんだ。
油断していると、また溜まっていく瘴気。
キリがねえ、この瘴気の多さ。
俺が…此処ら辺の瘴気を滅多切りにするしかねえのか?
姿が何も見えない敵を…俺、切りまくり?
剣舞?
凄ぇ…虚しいや。
「ああ…紫茉の豚汁…喰えばよかった。そうすれば…元気になるのに」
そう言うと同時に、何とも腹の虫が派手に鳴く音が聞こえてきて。
…止まらねえ。
「……腹減った…」
小猿は座り込んで、力尽きて死にそうな顔をしている。
こいつ…俺より緊張感ねえよな。
保健室に一旦戻るか?
たけど周囲がこんな状況なのを判って、放っておく訳にも…。
「――!!」
"紫茉" "元気"
それは閃きで。
俺はポケットから、目的物を取り出す。
小猿が大好きな"元気印"の食い物があったはずだ。
「小猿!!! 喰え!!!」
それは――
「俺の好物の…"きびだんご"!!!!」