「どどど…どうしよう?」
「俺に聞くな!!! お前…《妖魔》っての専門なんだろ!!? 皇城はどう処理してんだよ、《妖魔》ってのを!!!」
「皇城の力で符呪とか術とか…。だけど俺、実戦経験ないし…」
「ない!!? じゃあ、小々猿を出せ!!!」
「あいつらは…まだ出せる程力回復してない…」
「他に何か…お前が覚えている符呪とか、呪文とかないのか!!? お前、教育係がついてるんだろ!!?」
「え、ああ…あ…確か、前に朱貴に教えて貰った浄化の術が…ええと…」
「よし、それで行け」
「ええと…で、出だしは…」
だらだらと小猿の額から汗が流れ出ている。
「早く思い出せ!!!」
何か…緋狭姉との修行を思い出してしまった。
物覚えが悪い奴相手っていうのは、こんなに苛々すんだな。
「急かすなよ!!!
ちょっと待てよ、今思い出すから。
………。………。
……? ……??
……! ……!!!!
思い出した!!!
あ…だけど、出来るかな…あんまり成功率が…」
気弱発言に、俺は怒鳴った。
「ここまで待たせて、今更出来ねえなんてほざくなッッ!!! やれ!!! とにかくやれ!!! 何でもいいから、やってみろ!!!」
小猿は、俺の剣幕に半ば怯んだように、こくこくと頷いて。
「と、東海の神、名は阿明――…」
震えた声も、次第に安定したものになってくる。
「南海の神、名は巨乗――…」
瘴気が…ぐらついた。
いけるか!!!?
「百鬼を退け、凶災を祓う。
――急急如律令!!!」
小猿から、神気がぶわりと拡がり…
瘴気を上書きするように覆い尽くし
薄めて…消していく。
青光諸共に。

