玲に言われたような哀しい任務ではなく。


幼馴染だから出来る櫂の立て直しとか、

ああ、あのサナギを破壊出来るのが俺だけだとしたら。


俺はまだ、使い途あるだろう?



「……うがっ!!!」


ああ――


どうして俺から、まだこんなものが出るんだよ。


俺、七瀬の料理喰ってねえのに。


何で動くんだよ。


何で俺だけ。


何で。


何で。



「――煌ッッ!!!」



怒鳴るような声。




「桜……」


もう俺は、何度も何度も桜に情けねえ姿見せている。


桜はもう見たくはないだろうけれど。

俺だって見せたくはねえけれど。


だけど、そういう時に限っているのは桜だ。


そして桜は悟るのも早い。


だから…俺の末期は桜に託した。


桜にとっちゃ、いい迷惑かも知れねえけれど。


だけど、桜なら…決行してくれるはずだから。


迷いある俺を、容赦なく…切り裂いてくれるだろうから。



「――てめえ…


なんていう面してやがんだよッッッ!!!」



こんな時でも桜は桜で。


よりによってむかむかが止まらねえ胸部蹴り飛ばすなんて。


ああ――


「うがっ…」


また見られてしまったじゃねえか。