煌Side
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胸のむかむかが収まらねえ。



おかしい。


だって、"あれ"は幻覚で。


保健室に現われた朱貴と共に、消え去っただろう?


ぼんやりとした意識の向こうで、繰り広げられた光景は覚えている。


不安。

恐怖。

戦慄。


俺の体内も、"あの女"みたいに蛆だらけで、その内同じように口から…蛆吐き出していくのかと、そう思ったら…あの蛆が溜まらなく憎く思えて。


しかも遠坂から取り出されたあの物体と酷似しているというのなら。


蛆が変形して、成虫になったのだとしたら。


つまりは…

俺だって操られているということだろう?



それだけじゃない。


蛆というものは、屍体にたかるもの。


俺は――何だ?


生きて…いる。


生きて動いている。


死んでなんかいねえ!!!


こんな蟲如きに…俺の存在感すら、脅かされるなんて!!!


そう思って、滅多突きにした俺は…

あの時、同時に考えていたんだ。


俺が塔で捕まった時。


芹霞が壁に消え、氷皇に助けられるまでの間。



俺は――

どうなっていた?