櫂の大きな背中を見ながら、寂寥感のような物悲しさを感じた。
あたしは…櫂に、どんな反応を期待していたんだろう。
少なくともそれは、こういう"無視"の形ではない。
「……」
あたしの手から、温もりが離れた。
玲くんが、手を離したんだ。
「……ごめんね。
嫌だったでしょう?」
悲しげな声に、
「嫌…なわけじゃない。突然過ぎたから…」
あたしが、ふるふると頭を横に振って否定すると、玲くんが儚く笑った。
「……ねえ、芹霞」
そして玲くんは、あたしの肩をそっと抱き寄せて。
揺れる鳶色の瞳で、惑うあたしを映し出す。
「僕を見て……?」
消え入るような小さな声で囁いた。
切なげに、その瞳は細められる。
「僕が消えないよう…
僕を…捕まえて…?」
あたしの肩を掴む手にぎゅっと力を入れられた。
「僕だって…
君の近くにいるんだよ?」
さらりと、あたしの首に…線の細い鳶色の髪が零れ落ちた。
あたしの首筋に、玲くんの顔が埋められたんだ。
「僕を…弾かないで。
僕は…君に避けられたい為に…言ったんじゃない。
意識して欲しいけど…
拒まれるのは…辛い…」
苦しそうな声で。
「どうして君は…
1人しかいないんだろうね…」
何だか切なくなって、あたしは涙が零れるのを必死に堪えた。

