「ないって何!!? あと2枚あったの、無くしたの!!? じゃあ探そう? あれは、緊急脱出用に絶対必要だって」


「無駄だ」


玲様が冷たく言い放つ。


そして、真横に突きだした拳を開き、何かをぱらぱらと床に落とした。


「…櫂達を探している時に、床にあったのを僕が見つけた」


黄色い…細やかな紙の残骸。


この…散り散りのものはまさか!!!


私はその1枚を手に取り、覗き込んだ。


間違いない。


朱色の図形。



「これは…朱貴の符呪?」


玲様は頷いた。



「何で!!? こんなになったら使えないじゃない!!」


芹霞さんが悲鳴のような声を出す。


私は…脳裏に、切られた糸の存在を思い出した。


校舎内で…何かが暗躍している?


「あんたこの上着、保健室では脱いでたよね!!? その時!!? でも…あたし達しかいなかったよね!!? 


それだったらまるで…」


「芹霞、その先はストップ」


玲様が、唇に人差し指を立てた。


「仲間内で、無駄に疑心暗鬼になりたくない」


確かに…そうだ。


犯人は…外部からの侵入者で、何らかの方法で櫂様から盗み出したんだ。


それ以外の可能性はありえない。