そして。

それは肉体レベルの話でも同じこと。


…過去死んだ者が現在生き続けられることは、不可能ではない。


"生ける屍"。


藤姫のように、強引にねじ込んだ意識によって、肉体の持ち主の意識が消滅することを"死"となすか、


或いは"約束の地(カナン)"の土地に眠っていた天使達のように、肉体レベルで本当に"死"を迎えているのか。


どう捉えるかにより、想定は変わってくるけれど。


あと1つ、私がひっかかったのは。


櫂様が、あの女の肉体を、記憶の中にある一縷と同一だと感じたという事実。


言葉上では否定されたけれど、櫂様の顔には疑問が残っていた。


その為に、芹霞さんは義兄の呼び出しを指示されたのだ。


櫂様は、一縷は昔上岐妙に殺されたけれど、一縷の肉体は生き続け、そして同時に上岐妙の意識を内包してしまった。


そう考えられたのでは無かろうか。


櫂様が何をもって、"上岐妙が一縷を殺した"と結論づけたのかは判らない。


しかし櫂様は、それが大前提のようだ。


昔の記憶に起因しているのかもしれないけれど。


では――


そこから…見える"死"の定義。


意識か、肉体か、


滅んだのはどっち?