身体が反応したように、強張っていく。


どくん。


また、俺の中の"もやもや"が動き出す。


それは心臓のように脈うって。


「ねえ…どうしてこの時間まで、敵襲がないんだろう」


どくん。


「紫堂の警護団は2時間猶予と言ったよね。姉御まで敵になって…どうして、攻めてこないのだろう」


「氷皇の領域だから…迂闊に手出し出来ねえんだよ」


俺は…そう言ってみた。


不安を消し去るように。


「だけど…その中で、あの女(ヒト)達が事件を起こせたのは何故?」


どくん。


――判らないんです。



「あの犠牲者になった楓ちゃんだって、何で入れたんだろう?」


――先輩に連れられて塾に行って、入塾テストを受けた処までは記憶あるんですが…。


「帰して…本当によかったのか?」


「殺人未遂犯は僕達の手の内だからね。それに…何の情報も出ない気がしたから。完全に…記憶がないみたいだし」


玲は無理矢理笑いながら、深呼吸をして姿勢を正す。


「師匠、変だよね。葉山が…見張りに回っていたんだぞ? 葉山が気付かないってこと、ありえるのかな」



どくん。



「ねえ…ボクさ、凄く悪い予感するんだけれど」



どくん。



「氷皇の領域外で…何か起こってないか?」