「え、じゃああのイチルちゃんと…この人が一縷だというのなら、同一人物ってこと!!?」




「ではない。玲が言った通り…時系列が違うから」



判りません。



「むしろ…時系列が違わねば、話が成り立たないということさ。成り立つというのなら、また違う問題が浮かび上がる」


はて?


玲くんは何やら考え込んでいる。


あたしは考え込む必要はない程、判らない。


「片目碧眼…オッドアイが、何を意味するか…、それを訊いてみたい。黄幡一縷の義兄である計都という奴に」



何となく…計都に行き着いた理由は判ったけれど、何となく程度だ。


そして。


櫂と玲くんと由香ちゃんは青いパソコンを覗き込み、


煌は上岐妙…だか黄幡一縷だか判らん動かなくなった女生徒の監視役。


桜ちゃんは校舎内を見廻り。


皆それぞれ自分の役目を担う中、あたしには任務がなかった。


椅子に座ってぷらぷらと足を動かし、役立てることは他にないかと辺りを見渡せど…まるで無い状況に落胆する。


とりあえず『翠くん専用』の挽いたコーヒー豆でコーヒーを入れる。


何だか凄いコーヒーパッケージで、そういうことに詳しい玲くんに聞きに行く。


ああ、よかった。


にっこりほっこり玲くんだ。


「ああ、それは最高級…ビンテージもののハワイコナだね。珍しいな、こんな処でそれを見るなんて。ああ、そんなもので数万するんじゃないかな? 紫堂本家でもデミタスサイズで少量…口で含む程度に出てきたことがあったね」



庶民――撃沈。


金持ちなんて嫌いだ。


だけどこういう時の庶民は開き直りは早く、必要以上に大目の豆で大量のコーヒーを作った。


絶対何倍も、この大容量マグカップでおかわりしてやる。


あたしは紅茶派なんだけれど、こうなったら胃腸壊しても飲み続けてやる。


雑草魂、庶民強し。