「ああ、だけどこれが見せたかったわけじゃないね、機械がまだプログラム読み込んでいる」


画面は黒くなったが、俺達の脳裏からは消えない。


あの馬鹿にした顔文字は。


(蒼`◇)<濃厚氷━☆(゚■゚紫)ノ



くそっ。


氷皇の手の内にいたということが、何より俺は悔しい。


疲れ切った顔をした玲。


本当に、氷皇の行動1つ1つが忌々しくて、精神力を異常に多く消耗してしまう。


それは昔から変わらない。



「あのさあ、ボク不思議に思っていたんだけれどさ、何で五皇の内で氷皇だけが色名じゃないんだろう?」


遠坂が頭を傾げる。


「名前からして、"青皇"でもいいと思うんだけどな。姉御だって、緋色が名前に入っているから、"紅皇"なんだしさ。わざと"紅"なのは…紅一点からきていたりして…」



「うん…。どうだろうね、僕もイロイロ調べては見てたんだけど、さっぱりなんだよ。五皇に関する情報は、徹底的に隠匿されているんだ。その歴史や、個人に関する…例えば緋狭さんの過去すら表に出てこない。何処の学校を出て、どんな少女時代を過ごしたのかも…。緋狭さんで判ることは、妹の芹霞や神崎家に住む煌、そして僕達の思い出を組み合わせたものしか出てこない。それが…彼女の全てだとは、思ってはいけないだろうね」


固い顔をした玲は…きっと同じことを思い返している。


――黄の印。


緋狭さんは、何故わざわざあの烙印を俺達に見せたんだろう。


――これがある限り、私はどこまでも五皇だ。


何を言いたかったのか。



「氷皇が"瀬良蒼生"って言うのも、きっとあいつが芹霞に言わなかったら、僕達は知らなかったよ。そういうものさ、五皇っていうのは。氷皇と名乗るのは、あいつの気紛れなのか、それともそれすら"必然"なのか」


「まあ…氷の力があるから、嘘ではないよね。目立とう精神が強い奴だし…氷皇と名乗っていても、別にいいか」


遠坂は、苦笑した。