「あれは…桜華の制服。


黒髪おさげの女…?


なんでこんな時間――」



多分。


それに思い至ったのは、2人ほぼ一緒。



そして響き渡ったのは、か細い女の悲鳴。


あたし達は顔を見合わせて。



「イチル!!?」



――私…殺された一縷に身体を乗っ取られて、夜…人を殺しているんです。



待て待て。



都合良すぎやしないか?


安直に結びつけてはいまいか?


どうして桜華に居たら、桜華で殺人事件が起こる?


あたしの中で、肯定しがたい感情が湧き上がる。


今し方、紫茉ちゃんから警告されたはずだったのに。


どうしても否定したい。


きっと違う。



閉じ込められて出れなくなった桜華の女生徒が、怖くて怖くてきっと悲鳴をあげたんじゃ――…。



「やべ!!!


馬乗りになって首絞めて、


本気で殺ろうとしてるぞ、あれ!!!」



無情な煌の声が響いて、そしてあたしは…煌に手を引かれて、開けた窓から外に飛び出た。


行きたくなかったけれど。


だけど残されるのも嫌だから。



どうか、どうか!!!


煌の勘違いでありますように!!!