煌は声すら上げずに、こてんと横に倒れた。
凄い、一撃で煌がKOされた。
玲くんはやはり桜ちゃん以上の強さなんだ。
「こ、煌? 生きてるよね?」
「ふふふ、大丈夫だよ、芹霞。手加減してあげてるから。そんな発情犬より、僕の処においで?」
両手を拡げて、玲くんは綺麗に微笑む。
若干…背景たる薔薇に、黒薔薇が混ざって見えるけれど。
「僕の方が…もっと優しく起こして上げるのに…」
玲くんはにっこりと笑いながら、あたしの手を引いて抱き寄せると、
「おはよう、芹霞。
今日も可愛いね?」
間近で、玲くんの色気が満開発動した。
朝っぱらから鼻血なんて冗談じゃない。
その思い故に念仏唱えて顔をそむけると、
「ふふふ、逃がして上げないよ?」
そう…耳元で甘い声で囁かれたと同時に、
あたしの耳朶は…湿った音をたてながら玲くんの熱い唇に食まれ、更にはかぷりと歯をたてられた。
「ひゃあ!!!?」
思わず変な声を上げながらしゃがみ込んだあたしに、玲くんは意地悪い笑みを浮かべながら、
「浮気しないでねってメールしたでしょ? お仕置き」
お、お仕置きって何?
何ですか!!?
浮気って…煌とのこと!?
ああ、またあたしは玲くんにからかわれたのだろうか。
真横に、苦しそうな顔で煌が転がっている。
息してるようだし、命には別状は無いだろうけれど…
「さあ芹霞。朝の支度をして、一緒に朝ご飯食べよう?」
「煌が…」
「ん?」
にっこり。
ごめん煌…。
玲くん怖いから――
あんた暫くそこで寝ていて。

