「玲!!?」
「玲様!!!?」
そして――
「玲くん!!?」
様子を窺っていたらしい芹霞までもが飛び込んできて。
玲を止めるのだと思ったけれど、逆に玲の横で土下座をした。
「あたしからもお願いします。今、櫂は大変な時なの。時間がないの。だから、あたし達を見逃して下さい」
そして七瀬までやってきて、芹霞の横に土下座した。
「あたしからも頼む、朱貴。戦闘中にも関わらず、煌だって…あたし達に被害を及ばぬようにああした盾を作ってくれたんだ。悪い奴らじゃない」
「俺からも頼む!!!」
今度は小猿だ。
俺…なんかじんときてしまって。
俺も桜も自然と土下座してしまって。
出遅れた小猿が慌てて土下座をしようとした時、櫂がすっと歩み出てそれを止めた。
「お前は皇城の御曹司だ。紫堂の俺の為にそこまでする必要がない」
憂いの含んだ切れ長の目。
櫂は俺ほど喜怒哀楽を顔には出さねえけれど、この状況で心動かない奴なんていないだろ。
だから当然――
「……はあ。翠くんにそこまでさせるなんて、本当に何なんですか、貴方達」
呆れたように溜息をついて、煉瓦色の髪の毛を掻き上げた。
そして。
突如――
ぼうっと呆けたようにこっちを見ていた遠坂の元に赴いて、その肩を掴むと、
「!!!?」
その口の中に――
手を突っ込んだんだ。

