「ねえ――…
君の主君は誰なの、雅ちゃん」
にっこり。
「主君をほっぽって、そんなに遊びたいのなら、僕が遊んで上げるよ?」
迫力ありすぎる"えげつない"笑いに、雅の顔から余裕が消え、一歩後退した。
ばりばり、ばりばり。
玲がかざす月長石。
放出される電気の力は、俺と桜を包み込む結界を創り出している。
暫く見ていなかった玲の守護石だけど…何だかいつもよりも電気の量が凄まじい気がするのは気のせいだろうか。
そして雅の…12個の鉄環手は、そんな強固な青い結界に突き刺さるようにして、これ以上の進入も後退も出来ないままに、ぷるぷる震えたままで。
「幾ら君が僕の大切な仲間に手を出し何かを囁いても、幾ら僕の大切な女の子を怖がらせて泣かせても。
僕はね、女の子と子供には怖いことはしないよ?
ふふふ、だから安心してね?
――何て、僕が言うと思う?」
空気をがらりと変えた玲に、雅は慌てたように…結界に突き刺さる鉄環手を寄せ集め手にしたかと思うと、突然仰向けになって倒れ込んだ。
びくん、びくんと小さな身体が痙攣している。
何だ? 一体何が起こったんだ?
「僕には鉄環手を念力のように動かす力はないけれど、電気を通すものならば、一度通した電気を操ることが出来るからね。
ああ、ごめんよ。
今君は、感電していて、話す処の話じゃないよね?
電圧…高くしすぎちゃったかな、くすくすくす…」
玲。
お前…完全復活はいいけどよ…
溜まってたのは判るけどよ…
「悪い子には、お仕置きが必要だ。
君の主君は躾がなってないからね。ふふふ」
お前やっぱ拷問向きだよ。
白目剥かせて…"遊び"のレベルでも"躾"のレベルでもねえだろ。
ああ、雅の口から泡吹き出てるぞ?
「ふふふ。いい夢を見てね」
えげつねえ…。

