「桜!!!?」



「002。私の鉄環手を…避けられる速度があるなど…敬服致しますわ。ならば特別に、もう6つ…追加させて頂きますわ」


やばい。


やばいって。


こんな狭い中で、合計12個もどうすんだよ。


あっちこっち破壊しまくっているじゃないか。


此処には、俺達以外に…七瀬や小猿もいるんだぞ!!?


鉄環手を見切ってかわせる速度は出たものの、予測不能な環を偃月刀で弾き落とす…武器の精練された技術がねえらしい俺は、重厚なテーブルを片足で蹴り上げ、小猿と七瀬の前の盾になるようにしてやった。


2人が何か叫んでいるが、理解するまでの余裕はねえ。



少し拡がった足場に、俺は水平に飛ぶようにして鉄環手を躱した時、朱貴の振り上げられた足が俺に向けられていて。


腕でそれを弾いた瞬間、鉄環手が俺目がけて急降下を始めた。


やばい!!!


12個一斉に来るか!!!



咄嗟に結界を張るが、鉄環手の速度が勝る。


同時に、雅に間合いを詰められた。


逃げ切れねえ!!!



「ふふふ。いいことを教えて差し上げますわ。愛され過ぎた日々を送ってらした恵まれた貴方に…現実を」


まるでスローモーションのように、雅が語りかけてきた。


「8年前…何故貴方だけが、紅皇に記憶を消されて…紅皇の元に預けられたのか…考えてみたことございますか?」



「あ?」



「よく…紅皇も手元に置いたものですわ、

――…ご自分の…仇を」



仇?



「ふふふ。現実は…砕け散るものですわ」




そんな時。



俺の周囲で、ばりばりと音がして。



雅が舌打ちして、飛び退いた。





「闘い中…


お喋りは―…頂けないね?」



青い光。



櫂を担いだ…玲だった。