隣では爆発音。


桜が朱貴とやり合っている。


加勢したいが…


「余所見?

余裕? ふうん…?」



目の前に、双匕首の刃先が向かわれていて。


「煌、武器に何か塗っているかも知れない!!! 掠らないように気をつけろ!!!」


桜の声が飛んだ。


"約束の地(カナン)"でとんだ目にあったことを思い出し、焦った俺は、顕現した偃月刀で慎重にそれを受け、力でねじ伏せるようにして…武器を床に落とした。


間髪つけずに、別な匕首が突き立てられる。


俺が高く舞ってそれを躱した瞬間、俺の足下から桜が飛び出て来て、足で匕首を蹴り上げた。


俺は宙でそれを受け取り、くるくる回して目の前の朱貴に向ける。


しかし朱貴は顔色一つ変えずに、突きだした俺の手をはたき落とすようにして宙で一回転をして、チビの相手をしている桜の首元に肘を落として着地する。


態勢を崩した桜に、新たな双匕首が向かわれるのを偃月刀で弾き、俺と…立ち上がった桜は背中合わせとなる。


もう…誰が誰の相手をしているのか判らない乱戦だけれど、不思議と桜と共の戦闘は心地よくて。


俺達は、この2人をこの部屋から出すわけにはいかねえんだ。


「3,2,1!!!」


俺のかけ声にあわせて桜も飛び出し、互いに斜めに壁を駆け上り、外気功の反動を利用して、互いの武器にて真上からの攻撃を試みる。


重力を加わえた攻撃は、桜は朱貴、俺はチビに…何らかのダメージを与えられたけれど…まだまだ十分じゃねえ。